2025.12.25

2025年 年末のご挨拶

GOOD HOPSをいつも応援していただき、本当にありがとうございます。
この一年、私たちは遠野という土地で、ホップを育て、クラフトビールを仕込み、お客様に届けるという日々を積み重ねてきました。

GOOD HOPSのクラフトビールは、多くの仲間の手によって支えられています。
畑でホップと向き合う人、醸造に向き合う人、TAPROOMでお客様と向き合う人。
それぞれの立場で考え、悩み、楽しみながら、この場所を育ててきました。

年末にあたり、GOOD HOPSに関わるメンバーの中から、まずは醸造責任者、続いてホップ農家、TAPROOM店長、そして最後に代表より、この一年を振り返り、これからについてのメッセージをお届けします。
それぞれの現場からの言葉を通して、GOOD HOPSの今と、これからを感じていただけたら嬉しいです。

醸造責任者 村上敦司

皆さま、いつもGOOD HOPSを応援いただき、ありがとうございます。

すべての始まりは、私がキリンビールに在籍していた頃の、ある出来事です。
最初に開発に携わったビール、「とれたてホップ一番搾り」が発売された直後のことでした。

本社への出張の帰り、東京の山手線に乗っていました。車内には、そのビールの中刷り広告が掲出されていました。その広告の前に立っていたのは、上司と部下と思われる二人のサラリーマンでした。

上司がこう言いました。
「このビール、飲んでみた?」
部下は「いや、まだです」と答えます。
すると上司は続けて、
「すごく美味いビールだぞ。岩手県の遠野のホップを使っているらしい。ぜひ飲んでみなさい。きっと驚くよ」
と話していました。

その瞬間、胸が熱くなりました。

美味しいと評価してくれただけでなく、自分の言葉で、誰かに薦めてくれている。その光景に、心から感動しました。
あの出来事は、私にとって忘れられない原体験であり、人生の価値観を大きく変えた瞬間でした。

私はその時、自分にとっての最高の楽しみ、喜び、そして幸せを知ってしまったのです。

同時に、それはとてつもなく高いハードルでもありました。
より美味しいビールを目指すという、ゴールの見えない探求が、そこから始まりました。

キリンビール時代には、多くの仲間に支えられながら、新しい技術や品種開発に取り組むことができました。
そして今、私は遠野で、自分自身の手でビールを造っています。その分、ハードルはさらに高くなりました。

遠野らしいクラフトビールとは何か。
遠野でしか飲めないクラフトビールなど、本当にあるのだろうか。
そんな問いを重ねる中で、ひとつの答えに辿り着きました。

独自の新品種ホップをつくればいいのではないか、と。
クラフトビール向けであれば、必要なホップ量はkg単位です。
栽培性に多少の課題があっても、10株もあれば十分です。
多少手間がかかっても、取り組める現実的な規模だと考えました。

もうひとつは、世界で誰もやっていない加工方法です。
私たちはこれを「非加熱ルプリン」と呼んでいます。
簡単に言えば、畑で収穫した生ホップに限りなく近い状態で、ホップの中にある「ルプリン」という分泌物だけを取り出す技術です。ルプリンには、ビールに必要な苦味と香りが凝縮されています。
この方法によって、ホップ本来の個性を、これまでにないかたちで表現できるようになりました。

多様で、純粋なホップの特徴を楽しんでいただきたい。
そして、ここ遠野にしかないクラフトビールを届けたい。
それが、GOOD HOPSで私たちが目指しているクラフトビール造りです。

来年もまた、ホップと真摯に向き合いながら、より良いクラフトビールを目指して挑戦を続けていきます。
これからのGOOD HOPSにも、ぜひご期待ください。

醸造するホップ農家 神山拓郎

GOOD HOPSは4月24日に発泡酒製造免許を取得し、新しい醸造所として動きはじめました。
自社で管理する農園では、その1年前となる2024年4月からホップ栽培を開始しています。これまで手塩にかけて育ててきたホップがクラフトビールになる瞬間に立ち会い、皆さんと日本産ホップの魅力を分かち合える時間は、私にとってかけがえのない思い出です。

【醸造】
今年は29回の仕込みを行い、遠野産ホップと非加熱ルプリンパウダーに向き合う日々でした。
4月下旬にスタートしたクラフトビール造りは、まず自社ホップのポテンシャルを確かめることから始まりました。

品種ごとに苦味や香りの残り方を丁寧に確認しながら、細やかな調整を重ね、「日本産ホップの可能性を広げる」クラフトビールに仕上げる作業を続けてきました。
GOOD HOPSで使用するホップのほとんどは、非加熱ルプリンパウダーという、世界でも類を見ない加工方法によって生まれています。自社加工だからこそ実現できたこだわりを、余すことなく表現する。そのために、ルプリンパウダーの投入量や方法を模索しながら、ときには他の形態のホップ(ペレット、ウエットなど)との相性も探り、世界で私たちにしかできないビール造りに挑んでいます。

ホップの新たな表情が見えるたびに、ワクワクとドキドキが入り混じる瞬間があります。大変さの中にやりがいが詰め込まれた、そんな日常を過ごしています。

【ホップ栽培】
自社で管理を行う農園のホップは、今シーズンも順調に成長しました。
今夏は猛暑が続き、水不足の影響もあり、ホップにとっては厳しい環境でしたが、その中でもカスケードやNo Windを中心とした2年目の品種は、昨年を上回る収穫量を記録することができました。今年から栽培を始めた品種も、目標としていた数量に到達し、ひと安心しています。

年ごとに環境が目まぐるしく変化する中で、安定した生産を続けることは決して簡単ではありません。それでも、自分たちの手でこだわりを持って栽培することで実現できる味わいが、皆さんを笑顔にできると信じて、また一年間ホップと向き合っていきたいと思います。

試験栽培に挑戦している品種も、はじめての収穫を迎えました。今冬からは試験醸造設備を使い、これらのホップを用いたクラフトビール造りを進めていきます。新たなホップの輝きを、ぜひ楽しみにしていてください。

醸造を始めてまだ半年余りですが、大変ありがたいことに首都圏のイベントにもお招きいただき、製品を通して多くの方と遠野産ホップをつなぐことができました。会場でお会いする皆さんの楽しそうな姿を目にするたびに、自分で栽培したホップでクラフトビールを造り、飲み手の皆さんを笑顔にする仕事は、本当に刺激的だと感じています。

私たちの挑戦は、まだ始まったばかりです。
2026年も、タップルームや各地のイベントで、日本全国のファンの皆さまにお会いできる日を楽しみにしています。
来年も、最高のホップとクラフトビールで、一緒にワクワクしていきましょう!

TAPROOM店長 大橋夏日

「あ、”一応”、私が店長です…まだ見習いなんですけど…」

4月末に遠野に移住し、5月にGOOD HOPSがオープン。
しばらくの間は、「自分が店長だ」と自信を持って言えなかったのを覚えています。

ここに来たばかりの私が、「店長」と名乗っていいのだろうか、と。
私よりもビールに精通しているお客様が来て、「GOOD HOPSの店長はなんにもわかってない」なんて思われたらどうしよう、と。

そんなことばかり気にしていました。
未熟な自分でもできることは何かと考えたら、やはりお客様とのコミュニケーションしかない。
そう思ってからは、『一度来てくれたお客様に、もう一度来てもらえること』を目標に、来てくれたお客様全員に、とにかく話しかけて、話しかけて、話しかけました。

そうしていくうちに、次第にお客様から「店長!」と自然に呼んでもらえるようになり、ありがたいことに、以前ご来店いただいたお客様に、再びタップルームでお会いする、そんな機会が増えていきました。

この経験を経て私は、タップルームに来てくれるお客様が、ちゃんとこの ”空間” を好きでいてくれていることを実感できるようになり、そんなお客様の存在に背中を押され、今では「私が店長です」とためらわずに名乗れています。

自信が持てなかった私を前に進めてくれたみなさまに、この場をお借りして感謝申し上げます。

しかし、前進はしたものの、まだまだ店長1年生。
もっともっと成長しなければと、日々勉強中です。

2026年も初心を忘れず、まず自分自身がGOOD HOPSと向き合うこと、そしてこれまで以上に、自分自身がGOOD HOPSを好きになること、その姿勢を何より大切にし、みなさまと一緒に、このGOOD HOPSタップルームをより良い空間にしていきたいです。

改めまして、ここまで約7カ月、タップルームを支えていただきありがとうございました。

2026年も、GOOD HOPSタップルームをよろしくお願いします。

代表 田村淳一

GOOD HOPSを応援してくださる皆さま、いつも本当にありがとうございます。

GOOD HOPSの構想は2018年から始まりました。途中、何度か計画がストップすることもありましたが、今年の春、ようやく形にすることができました。

私は2018年に仲間とともに遠野醸造を立ち上げており、人生において二度目の醸造所立ち上げとなります。

昨年の春から計画が具体化し、さまざまな関係機関の方々のサポートを受けながら、ようやく現在の姿に辿り着くことができました。
これはどの醸造所の立ち上げでも同じだと思いますが、私たちも進めていく中で多くの課題に直面し、今の姿を想像できない時期が何度もありました。

それでも、「日本産ホップの可能性を広げたい」という思いに何度も立ち返りながら、仲間とともに、もがきながら前に進んできました。

「うまく立ち上がりましたね」と言っていただくこともありますが、実際には決して平坦な道のりではありませんでした。始まってからも、毎週、毎日のように発生する課題を、みんなで一つひとつ乗り越えてきたというのが正直なところです。

新しい設備で、誰も使ったことのない新品種ホップや非加熱ルプリンを使いこなすことには、難しさもありました。ただ、今年が終わろうとする今になって、ようやくそれぞれの品種の個性を捉えられるようになってきたと感じています。

私たちは、わくわくしながらホップの栽培、醸造、研究に取り組んでいます。
わからなかったことがわかるようになる、新しい可能性を発見する。そんな日々の繰り返しです。
これからは、その過程や楽しさも含めて、より多くの方と共有していきたいと考えています。

通販やSNS、イベントを通じて出会った皆さま、そして日頃から取り扱っていただいている飲食店や小売店など業務店の皆さま。新しい醸造所をつくったことで出会えたすべてのご縁に、心から感謝しています。
会いたい人や、行ってみたいお店が増えたことは、私自身の人生にとっても大きな楽しみになりました。

GOOD HOPSができたことで、遠野産ホップの未来が、少しずつ変わり始めているのではないかと感じる場面も増えてきました。来年も、きっと新しい動きが始まるでしょう。GOOD HOPSらしい挑戦を、さらに形にしていきたいと考えています。

私たちの取り組みの先には、きっと日本産ホップの再興につながる未来があると信じています。
その未来を、これからも皆さんと一緒に見つめ、つくっていけたらと思います。

これからも、遠野という土地で、ホップとビールに向き合いながら、一歩ずつ前に進んでいきます。
引き続き、GOOD HOPSの取り組みを見守り、応援していただけましたら幸いです。
来年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

年末年始休業のご案内

年末年始の営業・発送についてお知らせです。

■ 休業期間
12月27日〜1月4日

■ 商品の発送について

・12月25日ご注文分まで:年内発送

・12月26日〜1月4日ご注文分:1月5日より順次発送

■ TAPROOMの営業について

休業期間中はTAPROOMもお休みです。

2026年は【1月9日(金)】より営業開始します。

※1月9日は16:00からの夜営業のみとなります。

また、休業期間中も遠野市内の一部店舗ではGOOD HOPSのクラフトビールをお買い求めいただけます。

◎道の駅 遠野 風の丘 
岩手県遠野市綾織町新里8地割2−1

◎旅の蔵 遠野 
岩手県遠野市新穀町5−8

◎アサクラ酒店 
岩手県遠野市穀町1−19

◎ささき酒店 
岩手県遠野市宮守町下宮守26地割4番地1

※各店舗により、年末年始の営業状況、取り扱い商品や在庫状況が異なりますのでご注意ください。

年末年始のお供に、ぜひGOOD HOPSのビールをお楽しみください。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

CONTACT

お問い合わせ

施設やTAPROOMに関するご質問、自社ビールのお取り扱いに関するお問い合わせ(小売店様・飲食店様向け)、取材のご依頼など、どうぞお気軽にご連絡ください。
スタッフ一同、美味しいビールとともにお待ちしております!